ペットセラピー(動物介在療法)は、動物とのふれあいを通じて人の心身の健康を促進する療法です。犬や猫、ウサギ、馬などの動物がセラピストの一員として関わり、患者の感情面や身体面に良い影響を与えることが多くの研究で示されています。具体的な例としてはうつ病などをはじめとする精神疾患がある方、難病を抱えた子供たちが入院する小児病棟、介護施設など高齢者等、さまざまなところで動物たちが活躍しています。具体的な効用は以下の通りです。
まず、ペットとのふれあいはストレスの軽減に効果的です。動物と触れ合うことでオキシトシン(愛情ホルモン)が分泌され、心拍数や血圧が安定し、リラックス状態に導かれます。特に不安障害やうつ病の患者に対して、ペットセラピーは安心感や孤独感の緩和に役立ちます。言葉を必要としないコミュニケーションが可能なため、言語障害や認知症の方にも有効です。
また、身体的なリハビリにも活用されます。犬と散歩することで運動量が増え、筋力やバランス感覚の向上が期待できます。散歩の途中で同じく犬の散歩をしている人や犬好きなひとと話す機会も増え身体的なことだけでなく人とのコミュニケーションも期待できます。馬を使ったホースセラピーでは、乗馬による体幹の強化や姿勢改善が報告されています。動物との活動は「楽しい」と感じられるため、リハビリへの意欲を高める効果もあります。
さらに、子どもや高齢者に対しても大きなメリットがあります。発達障害のある子どもは、動物との関わりを通じて社会性や感情表現が豊かになることがあります。高齢者施設では、ペットセラピーが認知機能の維持や情緒の安定に寄与し、生活の質(QOL)向上につながるとされています。
ペットセラピーは、医療や福祉の現場だけでなく、学校や職場などでも注目されており、今後ますますその重要性が高まると考えられます。まだ数は少ないですがペットと出社OKという会社も存在しているようです。動物の持つ癒しの力は、人間の心に深く働きかけ、言葉では届かない部分に寄り添ってくれる存在です。人と動物が共に生きる社会において、ペットセラピーは心の健康を支える大切な手段のひとつと言えるでしょう。

